MAGAZINE
2017.10.11
「新潮」11月号に、長野まゆみ著
『銀河の通信所』(河出書房新社)の
書評を執筆しました。
「新潮」11月号に、
長野まゆみ著『銀河の通信所』(河出書房新社)の書評「「あわい」を訪ねる旅」を執筆しました。
長野まゆみさんによる刺激的なたくらみに満ちた小説。帯には〈未知なる4次元小説体験〉と!
宮沢賢治、稲垣足穂、北原白秋、内田百閒……このあたりの面々にピンときた方は是非。
〈本書は〈故人の意識をとらえる通信システム〉によって実現した宮沢賢治のインタビューから始まる。そのインタビューを皮切りに、稲垣足穂や内田百閒と思しき人物や、詩や童話の登場人物が、賢治について証言を重ねていく。(…)詩歌、書簡、掌編小説を織り交ぜながら、現在/過去を越えて、縦横無尽に行き来する様は、まさにテクストの4次元空間といえよう〉
〈北原白秋を思わせる〈北原百秋〉が登場する8章から、語りはさらに熱を帯びてくる。「アイスクリーム」と「花火」のイメージによって、白秋の詩と賢治の詩が呼応しはじめる箇所は、鮮やかなテクスト論として読んだ。〉
〈〈見える〉とは何だろうか。それを〈書く〉ということは、いかなる覚悟を求められるのか。自分が見たそのままの世界を直視し、描き出すことは、心の底から勇気のいることではないだろうか。「どうしてひとは、(そこにある風景を)自分が見るように見ないのか」。賢治の詩は、そう賢治自身に、そして読者の胸へ問いかけてくる。〉
「新潮」に執筆するのは今回が初めてです。
文芸誌の書評欄は文字数が多く、しっかり書かせてもらえるので嬉しい。