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2017.6.17
「文學界」7月号に、小林エリカ著
『彼女は鏡の中を覗きこむ』(集英社)
の書評を執筆しています。
「文學界」7月号(6/7発売)に、小林エリカ著『彼女は鏡の中を覗きこむ』(集英社)の書評を執筆しています。
小林エリカ著『彼女は鏡の中を覗きこむ』(集英社)は、自由な時間軸で語られる四つの短篇を収めた作品集。
中心作品「宝石」では、〈石〉が過去を再生させる装置となる。宝石屋の娘だった祖母、癌を患って放射線治療を受けた母、その娘の〈私〉が、宝石の見せる夢を通じて連関していく――。
併録されている他の短篇も、とびきり甘美な結末で強く惹かれました。「燃える本の話」は文学少女たち必読です。
〈語り手の女性たちは、戦争や夫の死など環境の変化に翻弄されながらも、自分の欲望を貫き続ける。奪われたものを取り戻そうと、果敢に生きる彼女たちの姿は、どこか力強い〉。
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungakukai/index.htm
GALLERY360°で開かれた、小林エリカさんの個展「彼女は鏡の中を覗きこむ/庭」展も素晴らしかった。
目に見えない世界に対して、独自の観点で向き合い続ける作家さんだな、と改めて。軽やかでありながらブレない強さを感じました。